真夏の石和温泉へ [エッセイ]

 この暑さをどのように乗り切ろうか。
このところ自分なりに体調を考えながら、よく働いた気がする。
日常の家事もやっとこさのくせに、ひとたび何かの整理など始めると頑張ってしまう。
 特に机の抽斗や、古い書類などが入った缶などを何気なく見つけると始末が悪い。
懐かしさが先にたって、整理を忘れて読みふけったり、当時に帰ったり。
 ここで一人でこんなことしているより、あっちも暑そうだけどやっぱり行こう。

 そして上京した。息子たちも夏季休暇を取り早速温泉を予約して待っていてくれた。
 ところが予約した那須は台風進路にすっぽりとはいった。
さあどうする。中止は残念と意見が一致。あれこれ考えた末にぎりぎりで台風を避けて
石和温泉に決定した。

 いつものことながら私たちの旅は観光よりのんびりと温泉に入りご馳走を食べること。
それと往復の電車が楽しい。でもあまり遠いのは嫌。

 青い空と高い山、流れる大きな川があれば私は満足。
そしてもしかしておまけにいい短歌でも出来ればしめしめなのだ。

 私はこの高い山が連なって見え、ぶどうや梨畑しかない鄙びた石和温泉が好きだ。
今回三度目。
 初めては、三十年くらい前、石和で温泉が出た。と聞いて、甥の結婚式に上京した時
 夫と二人で行った。雪の降りしきる日。ここには本当に温泉しかなかった。
でも甲府で食べた熱々のほうとうの美味しかったこと。
 道路の突き当りにどーんと大きな富士山が普通にあることに感動して、寒さなど
吹き飛んで二人で長いこと眺めたこと。忘れられない。

 次は仲良し三人の旅で富士五湖に行った時二十年くらい前、一晩は石和に泊まろうと
私が勧めた。大分温泉町らしくなっていた。友もよかったと言ってくれた。

 そして今回三度目、子供たちにすっかりおばあさん扱いされて内心不満な私。
それでもどこまでも青い澄み切った空の色、二千メートル級の連山のそれぞれ違う
藍色の木々の色模様。自然は変わることなく人々の営みに寄り添っている。

 今年のように、全国いたるところで自然の怖さを思い知らされても人間は戦うしかない。
 頑張るしかない。

 手足を伸ばしてゆっくりと湯舟につかり、暑いけど温泉はいいと思う。
食べられそうもないくらい、次々出てくるお料理も本当に美味しい。
 命の洗濯も出来たし寿命も少し伸びた気もする。彼も勿論一緒。
子供たちも優しい。口にはださないけど有難う。元気でいなければとつくづく思う。

 台風のことも忘れて、涼しい旅館で時間延長してのんびりすごした。
 帰りに駅まで歩いた灼熱地獄の七、八分。暑い暑い甲府は三十六度だったそう。

 特急「かいじ」は快適で、陽の光いっぱいの夏連山と笛吹川。

 ふふ いい歌が出来そうな気がしてきた。


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リンさん

温泉、いいですね。
上げ膳据え膳、ゆっくりしていいですね。
暑いときに頑張ったご褒美です。
by リンさん (2018-08-14 10:24) 

dan

有難うございます。
でも少し疲れました。「隣人」ゆっくり読ませて
くださいね。
by dan (2018-08-14 11:16) 

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