招からざる客 [日記]

 師走も早半分終って、垣根の南天の赤い実が北風にゆれています。
「ああ」ついため息が出てしまいます。
今日で十一日何と年末の忙しい私の体によもやの珍客。「帯状疱疹」が取りついてしまいました。
 それも二度目の。それも今回は三叉神経に取りついた?「顔と頭右半分」

 初回は十一年前の三月末、これは文字通り袈裟がけにびっしり出ましたね。
38度の熱も出たし、食欲もなくもう起きてなど居られなくてどっぷり床に着いたまま。
 桜の花が咲いても花見どころではありませんでした。

 でもあの時は強い味方の彼がいました。

 絶対に欲しくないと我儘を言う私に、三度三度食事を作り「食べないと元気にならないから」と
怒ることもなく、本当に優しい彼でした。
 内心どんなに感謝をしていても「有難う」とぶっきら棒にしか言えない素直でない私でした。
 結局貧血も引き起こし、体がしゃんとしたのはゴールデンウイークも終わりの頃でした。

 そのころから今度は彼が体調を崩しました。ガレージの波板を張り替えたり、濡れ縁を作ったり、庭の木に掛かりっきり、腰や背中が痛いとすぐ整形病院に行き、慣れない仕事のやり過ぎです
よと言われ、毎日電気を掛けに熱心に通っていました。

 私は帯状疱疹の時の恩返しとばかりに、せっせと食事を作りました。食欲旺盛でにこにこと
彼は「どれもおいしいよ。」と沢山食べてくれました。

 この時彼の体に恐ろしい病気が巣食っていることを、誰も気がついてはいなかったのです。

 そして四か月そのことを皆が知った時は、既になす術もなく、その代わり辛い治療も一切ないまま彼は安らかに旅立ってしまいました。

 今回先生に帯状疱疹と言われたとき、私の脳裏に真っ先に彼の顔が浮かんで「ああ今度は一人で頑張らなければ....」と思ったのがおかしくて思わず笑ってしまいました。

 今は先生のおっしゃる顔の右の目から下顎から頬にかけて耳の中「先生は中ではない縁」とおっしゃるけど「お岩さん」状態。頭にも五、六個はあるけど先生は触りもしないし見もしません。

 私はこの先生を信じているけど、ちょっと十年前とは対応が違うと感じています。
 今やベテランになられた先生にとって「帯状疱疹」なんてチチンプイ!!なのでは。

 とにかくもう全治は目にみえています。

 それに一番しんどかった時、突然娘が帰って来て驚きました。「帰らなくていいと言ったのに」と言いつつ本当に心強く嬉しかった私でした。
 素直に「有難う。嬉しかったよ。」と言えたのは年の功かなあ。
 
 後一週間 お岩さん上京す!

  


 
 

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