大寒 霜がこんなにも美しい [エッセイ]

 大寒と言えば一年中で一番寒い日です。

 朝起きて一番に窓を開けて、あたりを見回します。

 屋根瓦にも、目の下の休耕田にも真っ白な霜。ここは六十戸余りの団地でもう五十年もの

 歳月を経て住む人も古くなったのですがみんな顔見知りで、気心も知れていて住み心地満点。

 ああ、冷たいけどなんて美しい、キラキラ光る霜に心奪われて寒さは二の次。

 見上げる空の青さは胸がときめくほどで、心の中が洗われてもっときれいになりそうです。

 こんなに素敵な環境に、私はもう十五年も一人でいます。

 健康で病院通いもなく、自由気ままに思い通りに生きています。

 寂しくないと言えば嘘になるかも知れないけれど、仕方ないことです。

 東京に住む子供たちとはラインで繋がり、娘は毎晩十時生存確認?の電話がきます。

 この電話は一方的で、きょうあったことを私一人が喋ります。

 彼女はいつも私が[元気でいてくれるのが一番嬉しい」と言ってくれます。

 いつもなら東京で過ごしているはずの一月ですが、今年はコロナ禍でそれも無理です。

 まあ私はいつものように好きなことに精出して、元気で頑張ってみようと決めています。

 太陽が暖かい日差しをいっぱい注いでくれています。

 今日も一日を大切に私らしく過ごしたいものです。
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ハッピーバースデーのメールが来ました [エッセイ]

 気温三度、十年振りの寒波が来る。朝からテレビもラジオもこのことばかり。

空は青く澄み渡り朝方雪もちらちらしました。

そしてなんと冷たい。手が凍り付いたよう。こんなことはあまり経験ありません。

 でも青空の向こうに濃い灰色のそれも黒に近いどっしり腰を据えた大きな雲。

頑固で意地悪そうな雲が下界を睨みつけているようです。

風は北風今は強くはないけどこれから吹きまくるぞと、役者は揃っているようです。

 それなのに私の心は温かい。朝から誕生日を祝うメールがもう何通も。

 私が母の年齢に達したから。

 母はとても元気で明るくて八十歳を過ぎても茶道に情熱をもって、お弟子さんも

大勢いました。

 それがなんの前触れもなくあの日あっけなく逝ってしまいました。

年末年始を私たち夫婦、弟夫婦と温泉で楽しんできた一月六日。

 眠るようにその朝目覚めることなく。

弟からの電話に半信半疑のわたしと夫は飛んでいきました。

 本当に安らかな幸せそうな顔をして母は目を閉じていました。

 私は泣くことも、悲しい気持ちもなくて、ただその安らかな顔をみていました。

 そして突然、59歳で56歳の最愛の母を残して逝った父の顔を思い出しました。

 父母は幼馴染で恋をしてとても仲の良い二人でした。私は父母が喧嘩をしたのを

見たことがありません。父が大好きだった私が嫉妬を覚えるほどでしたから。

 ああこれで母は大好きな父に逢えるのだと。20年余を経ての嬉しい再会だと。

 母の葬儀の日に初めて涙が出ました。涙は止まらなくなり、隣にいた義妹が

そっとハンカチを貸してくれたのを思い出します。


 それから私は母の年までは頑張ると弟たちに言っていました。

そして、とうとう今年その年を迎えた私です。

 私は元気でこんなに沢山「おめでとう」のメールを貰って複雑な心境です。

 でもやっぱり「うれしいかなあ」

 父母と夫に「またもう少しまっていてね」と小さい声で、お願いしましょう。



 
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雪がちらちら灰色の空 [エッセイ]

 何年振りかの実家で、穏やかで暖かいお正月を過ごして

ご機嫌で我が家に帰りました。上げ膳据え膳、勧められるままに

ご馳走を食べたせいか、体重も五年ぶりに200グラム増えて大満足でした。

 今年初めての源氏講座にも行き皆さんにご挨拶したのは、つい先日だつたのに。

 まあ今朝の寒さは年寄り泣かせ。予報雪も降ると聞いてもこの南国でと..気にも

してなかったのに。

 暖房がんがん、コタツにももぐり、それでもパソコンを打つ手が冷たい。

 読む気も書く気も起らずたった一人て考えていると寂しくて涙が出そう。

笑っている写真の彼が恨めしい。

 決めた。今日は私得意の「昔返り」。一日中暖かいところで心置きなくやってみましょう。

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