青春の日よふたたび! [随筆]

 朝からすっきりと晴れ渡り柔らかな秋の日差しが降りそそいでいます。

昨日までの雨模様が嘘のよう。

 今日は年に一度の「マドンナ会」いまから半世紀も前ともに机を並べて

仕事をした職場の仲間たちが集う日です。


 役所の外郭団体の財団法人として発足以来六十有余年、その変遷は

激しくて、今はその名も変わり事業は細々と続いているものの、人手に

渡りながらも姿を残していた事務所ビルも、とうとう取り壊されて昨秋から

マンションが建てられています。


 昭和三十年頃、女性は定年まで勤める人は珍しくて、四、五年働いて

年頃になると結婚退職していた時代です。


 そして二十数年前、退職した人たちが子育ても終わり、少しゆとりも出

来たからと、誰からともなく話が出て女子だけの退職者の会ができました。

 最初は二、三年に一度の割合で開催して、出席者も多く昔話に花が咲く

楽しいひとときを過ごしていました。

 しかし時が過ぎ親の介護から配偶者の世話へと忙しくなり、ついに自身の

健康も危うくなった数年前から、「生きているうちに会いたい」という年長者の

意見に賛同して毎年の開催となりました。


 昨年十回目の区切りのいい所で、もう止めようかということになった時、そう

大袈裟に考えずに、気軽に集まって食事してお茶でも飲む会にしたらどうかと

いう意見に皆が賛同して今年を迎えました。

 簡単に電話で出欠を聞き、十人位はあつまるかなあ、と心配していたのに

何と昨年とほぼ同数の十六人もの出席者。

 一見みんな元気そうで、八十六歳を筆頭に七十二歳までの仲間の笑顔です。

 近況報告も生き生きと、家に籠っている人は殆どいません。

 料理、囲碁、フラダンス、コーラス、カラオケ、俳句、短歌、川柳、洋裁、水泳

などなど。

 
 それでも「お薬は飲んでいますー」と誰かが言ったので爆笑となりました。

 
 その昔の職場の様子は忘れかけていても、ひとつ糸口が見つかって誰か

が話出すと、皆がああそうだったと一瞬で花の働く乙女に立ち戻るのです。


 二時間半の会食が終わっても名残惜しくて誰も席を立ちません。

 幹事さんの機転で近くのカフェに席を移すことになりました。所用があった

二、三人除いて皆が移動しました。

 ここでまた一時間余り、お喋りは尽きることなく続きました。


 楽しい時の過ぎるのは早く、また来年を約束して家路に着く頃は、暮れ易い

秋の日も傾きかけて、暖かい思い出を又一つ積み重ねた私たち仲間を、優しく

見送ってくれているようでした。 

 
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コメント 6

智

華やかなお喋りの空気、楽しく読みました。
自分も昨日ちょうど同窓会だったので、すごい偶然だなあと、笑
by (2016-11-20 19:09) 

dan

有難うございます。
あれー私も偶然と思いつつ、今コメントしてきた
ところです。お互い楽しくてよかったですね。
by dan (2016-11-20 19:59) 

リンさん

マドンナ会ですか。
いい名前ですね。
私も去年、退職した会社の女子会やりました。
子育て終わって集まりやすくなりました。
by リンさん (2016-11-25 17:57) 

dan

有難うございます。
久し振りでも集まれば、直ぐ心が通う。
年は経ていても笑顔は昔を思い出させてくれます。
リンさんも女子会長く続けて下さい。
by dan (2016-11-26 21:44) 

rondo

ご無沙汰しておりました。
懐かしくて楽しいひと時を過ごされたご様子を、拝見しました。
若い頃の友人はいいですよね。
11月は孫たちの学園祭やブラスバンドに入団した孫娘のコンサート、私のピアノの会のコンサートやらで、治り掛けた「膝」がまた痛くて注射に行ってきました。 
by rondo (2016-11-30 11:30) 

dan

有難うございます。
本当にお久しぶりです。お孫さんやご自分の
音楽三昧、賑やかで楽しそうで一人ぼっちの
私は羨ましくて....。
膝気をつけて下さいね。
by dan (2016-11-30 20:56) 

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