夕暮れのわが街に雪が舞う [エッセイ]

 全国的な寒波襲来というのに東京は気温十六度、陽の光さえみえます。

それでも羽田空港でバスを降りた時、その風の強さにびっくりしました。

 北の方の便は遅れやら欠航やらの表示が見えたけれど、私は何の心配もなく

機中の人となりました。

 誕生日はみんなで祝うからという子供らの言葉も聞かず予定通りの帰宅です。

 ところが飛行機が滑走路に出たものの順番待ちとかで、かなり遅れました。

飛ぶ前に向かい風が強いのでかなり揺れ、定刻より遅れる予想だとアナウンスが

ありました。

 少し風邪気味で体調イマイチだった私は、やれやれと思ったものの仕方なし。

 やっと離陸すると本当によく揺れました。怖いほどでもないのだけどあまり

気持ちのいいものではありません。

 当地での着陸は普通は海側からはいるのに、今回は山側から降りたのでやっぱり

風はかなり吹いていたのでしょう。

 ふと窓から外を覗くと暮れなずむわが街には雪が舞っているではありませんか。

 タクシーの運転手さんが

「寒いでしょう。このところ六、七度なんですよ。雪が積もっている町もあるんですよ」

と教えてくれました。

 
 三週間ぶりの我が家は森閑として、雪は降っていませんでした。

 部屋に明かりをつけて暖房して、こたつに潜り込んで、暑いお茶をのみました。

 急に寂しさがこみあげてきました。鼻水が出て体がだるくて、やっぱり普通でない。

 ご近所にご挨拶にいくのもおっくうで帰って来たことだけ電話で伝えました。

 「楽しかった東京だけど、なんか疲れた。だって家にいる時より動くもんね。みんな

元気で頑張っていたよ」

 彼にはちゃんと報告をしました。

 テーブルの上には年賀状わ始めとする郵便物があり、部屋に入れた鉢植えもみんな

元気で新年を迎えたようです。時々留守宅を見にきてくれる弟夫婦にも電話しました。

 夜になるといよいよ本格的風邪症状、空港で買ってきた「京都巻き」はとても美味し

買ったので全部食べたし、お風呂だけはやめにしました。

 よるかかって来た娘からの電話では風邪の話はしませんでした。

 あれから六日もたって、時々雪のちらつくわが街、病院へ行くよりはと家に篭って

いたけれど、風邪は私が好きらしい。

 今日はやって来た弟たちとスーパーで美味しいもの沢山買ってきました。

 次の土曜日まででかける予定もないので養生します。

 明日からは少し暖かくなると聞いて、冬枯れの庭に優しくさいている水仙にやっと

気がつきました。

  冬来たりなば 春遠からじ 

  





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